高級特殊鋼ヤスキハガネとは

島根県安来市 奥出雲地方日本最古の歴史と伝統を持つ鋼として知られるヤスキハガネは、ねばりと耐久性があり、その硬度や耐久性などの品質において、他の鋼材に比べ群を抜く性能を持つ高級特殊鋼です。
機械や工具などを作るためのハガネをはじめ、耐熱材料、低熱膨張材など一般鋼材では達成できない性能を求められる様々な分野で活用されています。

古来から鉄の文化が栄え、その歴史が赤々と燃え続ける島根県出雲地方。安来市の南、奥出雲の地で採取される良質な砂鉄を資して「たたら製鉄」といわれる和鉄の精錬法が発達したところです。

安来市砂鉄がたたら炉へ入れられる瞬間、炎は赤、紫、緑などに変化しながら美しく燃えさかる。その炎から村下と呼ばれる熟練精通した職人たちは鉧(ケラ)を生み出し、この中からさらに良質な玉鋼を取り出す。江戸時代の後半から明治時代にかけての国内の鉄、なかでも最高級の日本刀の素材である玉鋼(タマハガネ)にかけては、奥出雲は国内屈指の産地であった。

その玉鋼(タマハガネ)の積出港として栄えたのが、安来である。こうした古来から続く製鉄技術の蓄積をもとに、今からおよそ100年前、明治32年に「雲伯鉄鋼合資会社」がこの地に設立されることとなる。以来、安来市に和鋼に関する知識や技術、経験が集積し、その陶冶研鑽の賜物として「ヤスキハガネ」という、のちに世界的な評価を得るブランドが誕生するに至る。

この「ヤスキハガネ」の生い立ち、ルーツはしまね観光ナビの「炎の神話・たたら」や安来市和鋼博物館の 「たたらの話」、日立金属株式会社の「たたらの話」などのサイトに詳しく解説されていますのでご覧下さい。また、NHK「プロジェクトX」第167回放送でも紹介されました。

ヤスキハガネは、高い硬度を持つ白紙、相対的に炭素量の少ない黄紙、タングステンを含む高級鋼である青紙に代表される刃物や機械用の鋼のみならず、その後の研究開発で、切削や研磨、耐熱、耐久などにおいての技術的なブレークスルーをもたらした鋼である。

日本刀の鑑定、研磨、製作の名工として「刀匠宗光」と称された初代社長守谷善太郎もまた、最高級の和鋼を求め続け、最後に辿り着いた素材が、このヤスキハガネであった。最高の材料とめぐりあった善太郎は、自身の持てる技術の経験、そして情熱を惜しみなく注ぎ込み、刃物製作の技を極めていくこととなった。そして戦後復興の気運を担い、昭和28年「守谷作業所」を創業、昭和31年「株式会社守谷刃物研究所」を設立した。

1世紀を超えたヤスキハガネの歴史。その遥か以前から営々と続くたたらの歴史…。風土が技を育み、技が人を育てていく。技術の連鎖は人と人とを時を越えて結び、あらたな歴史を拓いていく。

こんにちでは、被削性を大幅に向上させ、 低温安定性に優れた素材「低熱膨張材」なども開発されております。
私ども守谷刃物研究所はこうした優れた素材に最先端のテクノロジーを用いて加工し、熱処理を施し、厳しい品質管理に基づいてお客さまに製品をお届けしております。

こうした、特殊鋼の一般的な製造方法や用途・特徴は「特殊鋼ワールド」というサイトに分かりやすく紹介されていますのでご覧ください。

ヤスキハガネに関するサイト

しまね観光ナビ 炎の神話・たたら
http://www.kankou-shimane.com/mag/04/12/ttr01.html

安来市和鋼博物館 たたらの話
http://www.wakou-museum.gr.jp/tetsu1.html

日立金属株式会社 たたらの話
http://www.hitachi-metals.co.jp/tatara/index.htm

全特協ONLINE 特殊鋼ワールド
http://www.zentokkyo.or.jp/town/town.html

余談ですが・・・・
「安来」の正式呼称は「ヤスギ」であり、安来の「来」は「ギ」と濁るのですが、ハガネのブランド名の方のファーストネームは「ヤスキ」であり、濁りません。本来ならば、安来で作ったハガネであることから「ヤスギハガネ」になるはずなのですが、実際は「ヤスキハガネ」として世界中に通用しています。なぜ「ヤスキ」なのか・・・、その理由は定かではありませんが、あえて推測すれば、「そのハガネは濁りのないもの」と、最高級ブランドを自負した作り手のこだわり・職人魂がこのような表現につながったのではないでしょうか。